2026.07.06

スタートアップの採用はなぜ失敗する?よくある4つの原因と対策を解説

スタートアップの採用はなぜ失敗する?よくある4つの原因と対策を解説

「一人目の採用担当として頑張っているのに、なかなか決まらない」

「エージェントや媒体にお金をかけているのに、応募すらほとんど来ない」

マイナビの調査では、2026年の中途採用に積極的だと回答した企業が91.1%にのぼりました。採用意欲そのものは高いにもかかわらず、経営者や一人目人事の中には、思うように採用が進まないという悩みを抱えている人も少なくありません。

ただ、多くの場合、採用力そのものの不足ではなく、どこで、どう詰まっているかを把握できていないことが背景にあるケースが少なくありません。採用が思うように進まないとき、原因を市場が厳しいからで終わらせてしまうと、同じ失敗を繰り返してしまいます。

本記事では、Recbooが実際に支援する中で見えてきた、スタートアップの採用でありがちな失敗の原因を4つに整理し、それぞれの見抜き方と対策を解説します。

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スタートアップの採用が失敗に転びやすい背景

スタートアップの採用が難しくなっている背景には、市場全体の構造的な変化と、スタートアップ特有の事情の両方があります。

転職市場全体が売り手に振れている

doda転職求人倍率によると、2026年5月の転職求人倍率は2.44倍で、前月・前年同月からさらに上昇しています。これは、dodaに登録している転職希望者1人に対して、2件以上の求人が存在している状態を意味します。

求人数自体も前年同月比で14.9%増加しており、企業側の採用意欲そのものは高いままです。

つまり、候補者は今すぐ動かなくても条件の良い求人がいつでも見つかるという感覚を持ちやすい市場が続いているということです。この状況では、返信や連絡が少し遅れるだけで、候補者は他社の選考に気持ちが移ってしまいます。スタートアップにとっては、スピードそのものが競争力になる市場だといえます。

前述のマイナビ「中途採用状況調査2026年版」でも、正社員の不足を実感している企業は4割超にのぼり、不足の中身は人数そのものの量から、求めるスキル・経験を持つ人材の質へと重心が移っていると報告されています。知名度や採用ブランドで大手に及ばないスタートアップほど、この質の競争にどう立ち向かうかが問われる状況です。

知名度や実績の差だけでなく、比較の土俵に乗れていない

大手・有名企業と同じ条件で比較されると、候補者はどうしても実績や安定性のある企業を選びがちです。ただ、実際の支援現場で起きているのは、比較して負けているのではなく、比較の対象にそもそも入っていない、というケースです。

求人媒体やスカウト文面に、事業の意義・裁量の大きさ・成長環境といった、スタートアップならではの魅力が言語化されていないと、候補者はそもそも検討リストに入れる材料を持てません。

知名度がない分だけ、候補者が自分で調べに行かなくても伝わる情報量を、求人票やスカウト文面の中にどれだけ詰め込めるかが、比較の土俵に乗れるかどうかを左右します。

採用担当が専任でなく、プロセスに継続的な工数をかけられない

支援の現場でよく見かけるのは、経営者やCXOが採用を兼任しているケースです。日々の事業運営に追われて、スカウトの返信対応や候補者フォローが後回しになりがちで、特に資金調達や事業のマイルストーンが重なる時期は、採用のための時間が真っ先に削られてしまいます。

採用は、候補者対応が止まった期間がそのまま歩留まりの低下につながる、時間に敏感な業務です。1週間の遅れが、内定承諾を1件失う結果につながることも珍しくありません。専任者がいないこと自体が問題ではなく、兼任している中でも対応スピードを落とさない仕組みを作れているかどうかが分かれ道になります。

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よくある採用失敗の4つの原因

実際の支援現場で見えてきた、スタートアップの採用が失敗しやすい原因を4つに整理しました。

1. スカウトを送っても、ほとんど返信が来ない

送信数を増やしても返信率が上がらない状態が続くと、そもそも市場に候補者がいないのではないかと感じてしまいがちです。ただ、多くの場合、原因はターゲットや文面の設計にあります。

ターゲット設定や文面が自社が採りたい人材を軸に作られており、候補者側の視点(なぜこの会社で働く意味があるのか、今の職場と比べて何が変わるのか)が抜けていることが、返信率が伸びない典型的な要因です。

加えて、送信数だけを追ってしまい、開封率・既読率といった手前の指標を見ていないケースも多く見られます。開封されているのに返信がないのか、そもそも開封もされていないのかで、打ち手は大きく変わります。

2. 採用担当が実務と兼任で、プロセスが止まる

候補者への返信が数日空いてしまい、その間に他社の選考が先に進み、辞退につながるケースです。スタートアップでは特に起こりやすい失敗の原因です。

本人に悪気がなくても、事業側の業務が立て込むと、どうしても候補者対応は後回しになります。

問題は、遅れが1回であれば挽回できても、これが選考の各フェーズ(書類確認・面談調整・内定連絡)で繰り返されると、候補者から本気度の低い会社だと受け取られてしまう点です。候補者は複数社を並行して見ているという前提を持ち、対応の速さそのものを評価材料にされていると考えておく必要があります。

3. 紹介・リファラルだけに依存し、母集団が増えない

初期は身近な紹介で採用が回っても、事業拡大に伴って必要な人数・職種が増えると、紹介だけでは追いつかなくなります。

リファラルは、信頼できる人材に出会いやすく、コストも抑えられるため、初期のスタートアップにとって非常に有効な手法です。ただ、紹介できる人数には限りがあり、社員が増えるほど同じ人脈からの紹介に偏っていく傾向があります。

特に、これまで採用してこなかった職種(専門性の高いポジションやマネジメント層など)を初めて採用しようとするタイミングで、紹介だけに頼っている構造の限界が表面化しやすくなります。

4. 1年近く動いても、採用実績がゼロのまま

チャネル・ターゲット・訴求内容のいずれかが噛み合っていない状態が放置され、改善のサイクルが回らないまま時間だけが過ぎてしまうパターンです。

多くの場合、うまくいかない状態そのものよりも、何を変えれば良くなるのかを検証しないまま同じ手法を続けてしまうことが長期化の原因になります。

媒体を追加する、エージェントを増やすといった手数を増やす対応はしていても、返信率や通過率といった数値を振り返る場がないと、どこに手を打てば良いのかが見えないまま時間だけが経過してしまいます。

▼ スタートアップの採用はなぜ難しい?成功するためのコツや実践的戦略を解説
そもそもスタートアップの採用がなぜ難しいのか、市場構造から理解したい方は、こちらの記事も参考にしてください→ スタートアップの採用はなぜ難しい?成功するためのコツや実践的戦略を解説

採用の実感が変わったという、スタートアップ人事のリアルな声を事例集にまとめました。

支援事例で見る、失敗の解消

ロボティクス×ディープテック領域のスタートアップである株式会社キビテクも、対象人材の市場が非常に限定的で、スカウトを送っても返信がほとんど来ない状態が続いていました。ターゲットの見直しとスカウト文面の改善を行った結果、スカウト返信率は0%から10.5%既読率は57%から89%まで改善し、3ヶ月で複数名の内定と営業マネージャーの採用につながっています。

▼ スカウト返信率0%→10.5%、既読率57%→89%へ。”ロボットシステム開発エンジニア”を3ヶ月で複数内定・営業Mgrを1名採用に導いたスカウト設計

施策の詳細や、他の打ち手については、実際の支援事例ページで紹介しています→ 株式会社キビテクの導入事例

失敗を防ぐために見直すべき順番

4つの原因には共通点があります。焦って手法を変える前に、次の順番で見直すことが有効です。

段階起きやすい失敗打つべき手
1. ターゲット設計理想像に固執し、母集団が狭すぎるMust/Wantを分け、経歴でなく能力ベースで定義する
2. チャネル選定紹介・媒体のいずれか一つに依存するDR・人材紹介・リファラルを役割分担して併用する
3. スカウト・対応体制返信対応が後回しになり歩留まりが落ちる初回返信までの目標時間を決め、対応担当を明確にする
4. 振り返り結果が出ないまま同じ手法を続ける返信率・通過率を数値で見て、月次で見直す

手法そのものを変える前に、この4段階のどこで詰まっているのかを特定することが、遠回りを避ける近道になります。

▼ 【スタートアップ企業の採用戦略】採用を成功させるためのコツを徹底解説
採用戦略そのものの立て方を体系的に知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください→ 【スタートアップ企業の採用戦略】採用を成功させるためのコツを徹底解説

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今日から見直せる、失敗回避チェックリスト

次の項目に一つでも当てはまる場合は、手法を変える前に、まずここを見直すことをおすすめします。

チェック項目当てはまる場合に見直すこと
求めるスキル・経験をMustとWantに分けずに求人票を作っている必須条件を絞り込み、育成可能な範囲まで対象を広げる
スカウトやエージェントからの候補者への初回返信に3日以上かかっている初回返信までの目標時間を決め、対応担当を明確にする
採用チャネルが紹介・リファラルのみに偏っているダイレクトリクルーティングや人材紹介など、別チャネルを併用する
返信率・通過率などの数値を振り返る場を月次で設けていない指標を定義し、月1回は数値をもとに振り返る場を作る
採用担当が実務と完全に兼任で、採用にあてる時間が確保できていない優先度を明確にし、一部を代行・アウトソースする選択肢も検討する

▼ 【最新版】スタートアップ採用の母集団形成を成功させる方法を解説
母集団形成そのものの手法を詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になります→ 【最新版】スタートアップ採用の母集団形成を成功させる方法を解説

まとめ

スタートアップの採用がうまく進まないとき、その原因は採用力そのものの不足ではなく、ターゲット設計・チャネル選定・対応体制・振り返りのどこかで詰まっていることがほとんどです。

スカウトの返信が来ない、採用担当が実務と兼任で対応が遅れる、紹介だけに依存して母集団が増えない、1年近く動いても実績がゼロのまま、といった状態は、いずれも手法を変える前にどこで詰まっているかを特定することで、次の一手が見えてきます。

実際にRecbooが支援する中でも、対象範囲と文面、そして振り返りの仕組みを見直すだけで、返信率が0%から10.5%まで改善した例があります。

今のやり方を大きく変える前に、まずは自社がどの段階で止まっているのかを整理してみてください。支援の現場を見ていても、原因を特定せずに手法だけを変えて、遠回りしてしまうケースは少なくありません。

こちらの記事の監修者

株式会社ノックラーン代表取締役

福本 英Fukumoto Akira

株式会社ビズリーチ(現Visional)で約100社のスタートアップ/ベンチャー企業・外資系企業・日系大手企業の中途採用コンサルティングに従事。その後、AIスタートアップにて採用全体を統括し、上場に貢献。2022年に株式会社ノックラーンを創業し、3期目で株式会社エアトリ(東証プライム上場)へグループイン。主力事業「Recboo」にて、スタートアップ~上場ベンチャーを中心に、CXO・幹部クラス、研究者、AI人材など高難易度職種の採用、採用体制の0→1構築の支援行う。

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